三代目ヒロシです。
港湾の現場監督から、縁あって妻の実家の製麺所の跡継ぎになりました。原料を買って、加工して、それをまたお客様に買っていただく。初めて来たときに、これが人間の営みの原点だな〜と、思いました。普段気軽に食べられるうどんの味がどんどん落ちる中で、「おいしい!」と言っていただけるうどんの味を、次の世代に引き継ぐことが使命だと思っています。


第1話 「決断@」

その日はいつになく、緊張していた。

タイミングを計っているうちに、時間はどんどん過ぎていく。

 

隣に座っている妻・マサミの表情は、いつもと変わらない。

 

でも、きっと彼女も緊張してるはずだ。

 

目の前にはマサミの父・タカオが座っている。

タカオはすでにお酒も入って上機嫌だ。

 

 

楽しいはずの宴だが、

普段はすぐに酔ううヒロシが、一向に酔いが回らなかった。

 

 

 

はやく、言わなければ・・・

 

 

 

思えば、もう3ヵ月も悩んできたのである。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

2年半前、神戸に本社がある一部上場会社に就職が決まったヒロシは、

晴れてマサミと一緒になったのであった。

 

ところが、新居に移ったとたん、

実家のある広島への勤務が決まってしまった。

 

運も悪い事に、

マサミも兵庫で、同時に就職が決まっていた。

 

 

選択肢は2つ

 

 

どちらかが就職を取り消すか、

 

離れて暮らすかである。

 

 

 

ヒロシは決断をした。

 

 

 

 

 

 

「3年間は離れて暮らそう・・・」

マサミ

「・・・」( TДT)

 

「だってオレ・・・」

 

 

 

 

 


「貯金が5万しかないんだもの・・・。」
マサミ 「ガビーン!!!」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

それから時は流れ・・・

 

 

あっというまに約束の3年が来ようとしていた。

 

 

とうとう今日、

 

 

 

ヒロシはある決意を胸に、マサミの実家に来ていたのだ。

 

 

 

 

 

そして、会話が途切れたとき、ヒロシは思い切って口を開いた。

 

 

 

 

 

 

「お義父さん!!」

 

 

 

「・・・」
「僕を製麺所で働かしてもらえませんか」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

 

 

一瞬流れる沈黙

 

 

 

 

 

そしてタカオの口が開いた・・・

 

 

「アカン!」
「ガビーン!!!」

 

どうなるヒロシ?


第2話 「決断A」

「アカン!」

 

 

製麺所で働きたいと言うヒロシの一世一代の決意を

義父タカオにあっけなく一蹴されてしまったヒロシ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

「僕を製麺所で働かしてもらえませんか」

 

 

 

 

 

「うちはもう跡継ぎはいないと思うとったのに・・・」

 

 

 

 

「・・・ありがとう」( TДT)

「お義父さん!がんばります!」

手を取り合う二人・・・

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

という美しい光景を思い描いていたヒロシは、

あれれと拍子抜けしてしまった。

 

「ええ会社に勤めるのに、
わざわざ吹けば飛ぶような製麺所に来ることはないやろ。」

 

だがヒロシには、

どうしても製麺所で働きたいという理由が・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特になかった。( TДT)

 

 

本音を言えば、2年半単身赴任を続けたヒロシには、

家族と一緒に暮らせる仕事がしたかっただけなのだ。

 

 

 

その理由は、ヒロシの子供時代にあった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ヒロシの父は、ずっと単身赴任だった。

会えるのは年に3回ほど。

 

残される家族も寂しかったが、

赴任先に戻っていく父の後姿もまた寂しそうだった・・・。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

その話を聞いたマサミは

 

マサミ 「なら私の実家にきたらええやん」

 

 

と言ってくれた。


マサミ 「私、お父さんのうどんが好きやねん。(* ^ー゚) 」
   「・・・」( TДT)

 

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

 

・・・・・・

・・・

 

 

だいぶ悩んだが、まぁ〜それなら家族と一緒に暮らせるし、

 

妻が、

 

そして義父も喜んでくれるなら。

 

 

 

と、思い切って決断したヒロシだったが・・・。

 

 

「もう一回ちゃんと考えてみい。」

「大事な事やからな。」

 

 

 

 

 

「それにわしも・・・」

 

 

 

 

 

「イチから教えるのめんどくさいしのう〜」

「ガビーン!!!」

 

というわけで、ヒロシの決意はみごとからまわり。

 

とほほ。

 

さーて、どうするヒロシ!?


第3話「」


第4話「三代目ヒロシ誕生」

もうちょっと、よう考え直してみぃ!!

製麺所で働きたいというのを、タカオに諭されたヒロシ。

もう一度やりたいと言うべきか、それともここで引き返すか。

いや、そもそもほんとにやりたいのか?

 

だけど悩んでばかりいてもしょうがない。

 

考える事に疲れたヒロシは、ある日ついに決断した!

 

よし、やってみよう!何事もやってみんとわからんのじゃけ!

(ヒロシは広島出身だった・・・)

こうして、花川製麺三代目、通称イケ麺のヒロシは誕生したのである。

年明けに会社に話をして、3月で辞めることになった。

入社してちょうど3年目だった。

事務所はともかく(汗)、現場で一緒に働いた人たちは、みなヒロシの決断を応援してくれた。

だって、新婚早々3年間も単身赴任してたんだもんね。

 

そして、3月の終わりに、3年分の荷物を普通車1台に詰め込んで。


第5話「」


第6話「」


第7話「ロール」

ついにヒロシの製麺修行が始まった!

 

まずはタカオさんが手本を見せる。

ロールから出てきた生地を、麺棒にくるくるっと巻いて、機械の上に乗せる。

後は自動的に巻き取られる。

 

 

なんだ、簡単そうじゃん!

 

「一回やってみい」
「はい!」

 

ロールから出てきた生地を、くるくるっと巻きとって・・・。

 

 

ん!?

 

 

あれ?

 

 

 

くるくるっと?

 

 

 

えー!

 

ま、まきとれないーーーーー!

 

 

 

あわてるヒロシ!

 

 

 

次々とロールから出てくるうどん生地!

 

 

どうする〜〜〜〜〜〜〜!?

 

 

 

(カチッ!)

 

 

 

スイッチを止めた。

 

 

 

ふー、危ない危ない。

 

 

と、うしろから声が。

 

 

 

 

 

 

「機械は止めたらあかん。」

 

 

 

「あ、はい。わかりました!」

 

 

そして、再度挑戦。

 

 

出てきた生地をくるくるっと・・・。

 

 

や、やっぱりできましぇーん!( TДT)

 

 

手の中で大きくなっていくうどん生地!

 

 

どうする〜〜〜〜〜〜〜!?

 

 

 

 

 

(カチッ)

 

 

 

 

 

あ。止めちゃった・・・(汗)

 

 

 

( ゚Д゚)

 

 

 

結局その後も何度か機械を止めては怒られるヒロシであった。

 

「止めたらアカ−−−−−ン!」
ヽ(´Д`;)ノ

 

 

負けるなヒロシ!

 

イケ麺への道は、まだまだ遠い。

 


第8話「休憩時間」

「あかんー!」
「ちゃうー!」
「そこは右手ちゃう、左手ーっ!!!」

 

現場から一転。

妻の実家の製麺所で働く事になったヒロシ。

 

 

容赦なく飛んでくる義父タカオの声に、

冷や汗が流れる毎日だった。

 

「一時間ほど休憩せい」

「ありがとうございます!」

ワーイ、ヤッターヽ(´ー`)ノ

 

 

この時ばかりは、タカオのだみ声が、天使の声に聞こえる。

 

 

 

 

 

しかし、休憩する場所がない。

 

 

(当時はまだ自分の部屋をもらってなかったしね。)

 

工場の中では落ち着かないし、

 

朝早くから働いているから、

 

できれば横になりたいなぁ・・・。

 

 

おばちゃん 「社長の部屋で寝かしてもろたらええねん。」

 

 

あっ、なるほど〜。

社長の部屋ね。

それならぐっすりと・・・

 

 

「って、余計に気を使うやん・・・」ノリツッコミ!!

 

 

結局、駐車場の車の中で休憩する事にしたヒロシであった。

 

 

休憩時間の楽しみは

 

弁当を食べながら聞いていた

 

浜村淳さんのラジオ番組

 

 

あの独特の関西弁でのしゃべりが、すごく好きだったのだ。

映画解説なんかは、実際に見るよりも面白いくらい。

 

 

そんなわけで、はじめてのことだらけで緊張していたヒロシの心を、

 

楽しいおしゃべりで癒してくれた浜村さん。

 

 

当時を振り返り、是非感謝を込めてこう言いたい!

 

「ありがとう、浜村淳!!」

 

 

 

・・・でも最近は、他の番組に浮気しているヒロシであった。

 

 

ごめんね浜村さん。


第9話「ガムテープ」

ある日、ひとりで焼きそば用の麺を切り出していたヒロシ。

 

ガッシャン、ガッシャン、とリズミカルに麺が切られていく。

 

順調にいくか見えたその時・・・!

 

 

 

(ドガチャーン!!)

 

 

 

 

 

え!?( ゚Д゚)ポカーン

 

 

 

振り返ると、そこにはなんと!!

 

 

床に落ちてバラバラに壊れた打ち粉用の機械が!!

 

 

 

目が点になるヒロシ。

 

「き、機械壊してもうた・・・。」

 

 

冷たい汗が脇の下を流れる。

 

 

 

ど、どうする〜〜〜〜〜!

 

 

 

隠しても仕方がないので、結局、義父のタカオさんに報告に行くことに・・・。

 

 

「すみません。機械壊しちゃいました・・・」
「・・・」

 

 

 

 

一瞬の沈黙。

 

 

流れる汗。

緊張が走る。

 

 

 

 

そして数秒後、ついにタカオさんが口を開いた!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガムテープや」
「え!?」
「ガムテープでくっつけたらええ。」
「ガビーン!!!」

 

 

ガ、ガムテープ〜〜〜〜〜!?

 

 

そんなんで直るんですか〜〜〜〜〜〜!?

 

 

そう言えば、製麺所の機械、いたるところにガムテープが貼ってあったような・・・。

 

ま、取り合えずやってみよう。

 

壊れたところにガムテープを貼り付け、動かしてみると・・・・・。

 

 

 

 

直りました(笑)

 

 

不恰好ながら、ちゃんと動いております。

 

 

うーーーーむ。

 

何でもやってみるもんだ、と改めて思ったヒロシでした。

 


第10話「大阪」

ある日、久しぶりに学生時代の友達と西宮に飲みに行ったヒロシ。

 

久しぶりに再会ということもあって、結構飲んでしまった。

帰りはもうふらふらである。

 

「う〜ん、ちょっと飲みすぎたかな。」

実は明日は3時半起きの予定である。製麺業は朝が早いのだ。

JR西宮駅まで送ってもらい、西明石行き快速列車に乗り込む。

「あ〜楽しかったなー」

心地よい揺れの中で、あっという間にに眠りに落ちたヒロシであった・・・。

 

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

 

 

 

 

どれくらい経っただろうか。ふと目が覚めたヒロシ。

 

「あれ?今どこ?」

 

入り口近くにある「次の停車駅」の表示を探す。

表示にあったのは・・・「塚本」

 

「え!?」

 

目が点になるヒロシ。

 

「塚本って、どこ?」

 

西明石までに、そんな名前の駅はない(汗)ていうか、

何処にもうかってるのかすら分からない(大汗)

 

 

やばい。

 

心臓がどきどきしてきた。

 

ここはどこだ?

 

どこなんだ〜〜〜〜???

 

 

 

パニックに陥るヒロシにとどめを刺したのは、

車内アナウンスの声だった。

 

アナウンス

 

 

 

 

「え〜、次は終点」

 

 

 

 

アナウンス

「おおさか〜、おおさか〜。」

「ガビーン!!!」
アナウンス

「お忘れ物のないようにご注意ください。」

 


なんと大阪!!

 

反対方向!!

 

明日の製造予定は朝の4時!!

 

始発で帰っても間に合わない〜〜〜!!

 

 

・・・なんか久しぶりにスリリングな展開(笑)

 

次回、ヒロシは無事に明石に帰ることができるのか!?

(つづく)


第11話 「機関」

(前回の続きから)

飲みすぎて西明石で降りるつもりが、

折り返して最終電車で大阪まで行ってしまったヒロシ。

明日の製造予定は朝の4時半。

このままでは間に合わない!

どうするヒロシ!?

 

 

 

大阪駅のホームをふらふらと歩きながら考える。

 

時計を見るとすでに1時を回っている。

 

「困ったなぁ〜」

 

タクシー乗り場まで走っていき、運転手に聞いてみる。

 

「西明石まで行けます?」
運転手 「行けますよ」
「よかった〜。」

 

ま、お金のことはあとで考えることにしよう。

 

 

携帯が鳴った。

 

マサミからである。そういや電話してなかったな〜。

 

マサミ
(心配)
「今どこにおんの?」
「ん〜、さてどこでしょう?」

マサミ
(怒)

「知らんわ!で、どこにおんの?」

 

 

 

 

 

「え〜っとぉ、今、阪神高速の深江あたりを〜」

 

 

 

 

 

「西に向って爆走中で〜す。」

 

v( ̄Д ̄)v

マサミ
(激怒)
(#゚Д゚) あほか!

 

 

なんか怒ってらっしゃる?(当たり前か!)

まぁ、仕事にも間にあいそうだし、今回はよしとしとくか。

 

そして約1時間後半後、無事に明石にたどりついたヒロシであった。

 

 

さて、今回学んだ貴重な教訓

大阪からタクシーで西明石まで帰ると、深夜料金で1万5000円かかる!

 

ちなみに加古川から西明石だと、6000円ぐらいです(* ^ー゚)


第12話「イケ麺通信こぼればなし」

「もっともっとお店のことを、

近所の人たちに知ってもらうには

どうしたらいいんだろう。」

 

そんな風に考えて誕生したのが、この「イケ麺通信」。

 

 

今回は始めたばかりの頃のお話です。

 

当時はパソコンがほとんど使えなかったので、全部手書き。

 

鉛筆で下書きして、マジックでなぞる。

 

我ながら、よくやったもんだ(遠い目)

(イラストは、今見ると赤面しそうだけど:笑)

 

ちなみにタイトルの「イケ麺」は、

友達が冗談で言ったのを「それ、ええやん!」と頂いたもの。

 

なかなかいいネーミングでしょ?(笑)

 

ところがこのタイトルが、思いもかけない反応を巻き起こしたのだった!

 

お客様

「読ませてもらったよ〜。なかなか面白いね」

お客様 「あの、タケ麺通信。」

 

 

 

 

 

「えっ!?」

 

 

 

 

 

「あの・・・イケ麺通信なんですけど。」
お客様 「えっ?タケ麺じゃなかったの〜!?」
「ガビーン!!!」 


よく見ると確かに手書きで書いたタイトルの「イ」と「ケ」が近くて感じの「竹」に見える。

しかも「竹麺通信」ってなんかおいしそうな響き・・・。


「・・・って意味がわからんじゃないかー!(汗)」

 

 

 

それから次の号が出るまでの間、

「タケ麺通信読んだよ」「タケ麺通信ちょうだい」と言われるお客様に、

「あれはタケ麺じゃなくって、イケ麺なんです(汗)」

と説明し続けたヒロシであった・・・

 

 

 

・・・あれから約1年半。

ここまで続けてこれたのも、

 

ホントいつも応援してくれる

皆さんのおかげです(感謝)

 

これからも「竹麺通信」、いや「イケ麺通信」とはなかわを(笑)、

 

どうぞよろしくお願いします。